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Channel: かものはしプロジェクト
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インド売春宿の実態と、救出された後の女の子たちの行く末

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今回はNPO法人かものはしプロジェクト年次報告書2012にある 「本木がインド滞在209日で見てきたもの。」のP6〜P9に書かれたものを元に、 インドで生じている人身売買問題の一部をご覧いただきたいと思います。

闘い抜く、少女たちとともに

インドで性産業に従事する女性・子どもの数 100万〜300万人にまでのぼると言われている。 うち26%にあたる数十万人は詐欺・誘拐など自らの意思に反した理由で この仕事に就いていると言われる(※)。 時には10歳未満の少女が被害に遭うこともある。 人さらいは誘拐した少女を10〜20万円で売春宿に売り飛ばす。 そして売春宿の客は、数百円から千円で彼女たちを買うのである。 20140724_India_blog_1.jpgのサムネイル画像
そんな女性・少女たちを救うべく、事前に念入りな調査を繰り返す。 そして2012年1月12日、やっと売春宿の摘発にこぎつけることができた本木は、 4人のNGOスタッフと10数人の警察官と共に突入した。 そこで見た光景は、想像を遥かに超えるものだったという。
突入に驚く売春宿のマネジャーや客引きを無視して奥に進むと、 ベッドがぎりぎりに詰め込まれた小さな部屋が並んでいた。 何年も洗っていないであろう汚れたマットが引き詰められたここも通り抜け、3階に上がる。 3階はコンクリートの打ちっぱなしで、銅鉄の扉がついた部屋がいくつもあった。 毎晩少女たちは、そこで鍵をかけられて眠る。 僕には大きな棺桶に見えてたまらなかった。

電気はなく真っ暗な現場を声を張り上げ、 懐中電灯を照らしながら少女を探した本木を始めとする調査員たち。 すると闇の奥に怯える3人の少女を見つけ出した。 壁や天井を入念に調べると、2階の天井に隠し部屋が見つかった。 中には三人の少女が隠されていた。
結果的に今回の活動で10人の女性・少女を助け出すことができた。 しかし運良く売春宿から救出されたとしても、 ゼロからの再出発が始めるわけではない。 むしろ精神的にも肉体的にもぼろぼろの状態で、 圧倒的マイナスからの再スタートが始まるのだ。 故郷の村に戻っても、大きな苦しみが待っている。
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インド東部の小さな村に住む15歳の少女、サクシー(仮名)。 彼女は叔父夫婦に村からはるか1500km離れた売春宿に売られ、 そこでは何人もの男性に身体を犯された。 1年後、NGOと警察により救出され その半年後には村に戻ることができたが、 彼女もまた、救出された後の生活に苦しみを抱えていた。
村にはサクシーを売った叔父夫婦が安穏と暮らしており、 叔母は「主人は悪くない。あの女にそそのかれたんだ。」と、泣いて家々を回ったという。 村はサクシーを「売春という汚いことをやっていた汚いモノ」と捉え、彼女と家族の方を責め立てた。 家族はサクシーをかばおうとしたが村の圧力は厳しく、 家族がつらい思いをするのを見てサクシーはさらに自分を責めた。 自分のふるさとに自分の居場所はもはやなかった。

現にサクシーの叔父夫婦は彼女の自宅から50mの所に住んでいる。 後から後からこみ上げてくる怒りや悲しみを、 忘れたくても、忘れられないのだ。 またこうした苦しみを抱える女の子はサクシーに留まらず沢山存在する。
しかし、そんな彼女をかものはしプロジェクトや現地NGOは絶対に見捨てない。 サクシーに寄り添い、継続的にサポートを続けていった。
村のコミュニティに入り、サクシーは汚れていないこと、悪くないことを村人に理解させていった。 支援に寄って小さな雑貨店を開き、経済的に自立して、家族を助けることができるようにもなったサクシーは 少しずつ自立心を取り戻し、なんとかふるさとの村で生活している。

20140724_India_blog_2.JPGのサムネイル画像 ※自分自身でお店を経営することで、彼女たちは自尊心を取り戻してゆく
しかしサクシーのように継続的な支援を受けることができる女性は稀である。 そうでない女性は村を去り、 唯一できる「身体を売る」職業に従事することを自ら選ぶという。 心身のリハビリテーションを受けて十分に回復したと思われた女性でも、 ちょっとしたことで心の傷が開いてしまうことがある。

それでも、解決はできる

希望のない話に聞こえるかもしれない。 この問題には貧富の格差、女性への差別、出稼ぎ、汚職など 様々な問題が絡み合っている。 その深刻さや複雑さを思う時、正直、 「私たちが今やっていること、やろうとしていることは無駄なのではないか?」 そんな絶望感に襲われることもある。 20130315_India_CBO_Yasuda.png ※かものはしがパートナーシップを組んでいるNGOグループとの集合写真
そんな時、決まって思い出されるのは闘っている仲間たちの顔だ。 現在かものはしプロジェクトは 6つの現地団体とパートナーシップを組み、共同でプロジェクトを行っている。 現地社会を熟知している彼らと協力することで、 より効率的・効果的に活動することができるためである。 そして何より、 哀しみをたたえた「被害者」ではなく 闘い抜くことを深く決意した「Survivor(生き抜いた人)」である少女たちの顔は、 勇気と希望を持たせてくれる。 前述したように家族の元に戻っても 彼女たちは安定した幸せな環境に暮らせるわけではない。 それでもがんばって毎日を生き、 時には自分と同じような想いを他の少女にさせないために 加害者と闘うことを引き受ける子もいる。 そんな女の子たちの思いを決してムダにはできない。
"社会は変えることができる。 大変な闘いだけど、この問題は解決できる。"
カンボジアでの12年を経験してきた私たちは 確信を持って、そう、言うことができる。 かものはしプロジェクトの役割は、 現地でがんばる仲間と、日本でそれを応援する仲間をつなぎ、 この問題の解決に貢献することだと感じている。 (※)THE FIRST PAN-INDIA SURVEY OF SEX WORKERS 2011

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