みなさま、こんにちは、広報を担当している小畠です。 私は今年1月にインドに出張し、現地の様子を見てきました。

口を閉ざしてしまったある女性との出会い
プルニマさん(仮名)。かものはしが支援している、 西ベンガル州の南24区に住む女性です。 今から1年半前の2013年の9月に、ある会合で私は初めてプルニマさんに会いました。 その時の彼女は一言も話さず、うつむき加減のとても静かな女性でした。 さんはその会合に、お父さんと一緒に来ていて、 一言も発さない彼女の代わりにお父さんが一生懸命彼女の被害の状況と、 進まない裁判の様子を訴えてくださっていました。 「娘を探すために、家の家具を全て売り払って、村の祈祷師にお願いした。 警察にもお願いして、たくさん手をつくして、やっと娘が帰ってきて本当に嬉しい。 でもトラフィッカー(人身売買加害者)は悪いことをしているのに、 いつまで経っても捕まらない!」 そのお父さんの訴えがあまりにも逼迫した様子で、 その時はじめてサバイバーに会い、状況の悲惨さを目の当たりにした私は、 とても絶望的な気持ちになったのを強く記憶しています。
人は変わることができるという確信
今回の出張で、私はプルニマさんと再び会いました。 彼女たちの活動についてヒアリングをするミーティングの場での再会でした。 最初、私は1年半前に会ったプルニマさんと、 その場にいる女性が同一人物だと気付きませんでした。 口数は多くありませんでしたが、聞かれた質問にしっかり目を見て答えていました。 その目はとてもキラキラしていて、 以前の、一言も発することがなかった女性とは思えないほど イキイキと話をしてくれました。 彼女の今の状況を聞くと、我々のプログラムによって、 村に小さな雑貨屋を自ら運営し、経済的自立に向けて頑張っているとのこと。 加えて、彼女は自助グループの新しいリーダーとして、 同じ境遇の女性と一緒に戦うという決意を見せてくれました。 1人の女性が自立している様子を見ることができて、後から正直びっくりしました。 あの時の彼女だと言われてもにわかには信じられず、 何回も確認するほど、彼女は元気になっていたことに驚きを隠せませんでした。 同時に私は、人はこんなに変わることができるんだ という大きな自信を持つことができました。
